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10月2日から放送がスタートする機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ二期を正座して待ちながら、「そういえば、どんな話だったっけ?」という疑問を少しずつ解消してみます。

  



ガンダム鉄血のオルフェンズ、本編の設定 

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本編は「厄祭戦」と呼ばれる惑星間戦争から約300年の月日が経過し、ある程度平和で整った環境が舞台です。文明レベルの低下によって引き起こされた不安定さも解消の道を順調に辿り、地球圏はギャラルホルンという武力組織によって新たな支配体制を受け入れ、そして馴染みはじめていました。
しかし一方で地球から離れた部分では貧困が蔓延し、火星などの惑星ではヒューマンデブリ(孤児)や少年兵などによって治安の悪化とモラルの崩壊が社会問題となっています。地球以外を顧みない政策に火星は独立運動を行い、それを指揮する少女クーデリア・藍那・バーンスタインを主軸に物語は進みます。
いわゆる強者である地球と、弱者である火星圏の争いがベースになっているんですね。
そして本作品の主人公である三日月・オーガスもまた少年兵として生き、平和とは程遠い世界で過ごしてきた過去があります。寡黙で仲間を思いやり、組織形態に完全には順応しない生き方を観察していると、オルフェンズの世界で生きるということの過酷さがわかります。さらに三日月をはじめとした多くの子供たちには教養がなく、ペンよりも先に銃を持つのが普通です。
主人公たちが所属する「鉄華団」もいわゆる民間の運営する軍事組織であり、そういった会社がこの世界にはたくさん存在しています。その多くが子供のうちから戦闘行為に参加しているため、多くの犠牲と荒廃をもたらしています。
タイトルの「オルフェンズ」も「孤児の複数形」を意味し、この作品がガンダムとしてどのような物語を紡ごうと思っているのかが想像できます。
オルフェンズの世界観を表す上で重要なのは、「ビーム兵器」が登場しないということでしょう。ガンダムといえばピンクだったり緑だったりの光が戦場を駆け巡るイメージがありますが、今作ではそれらの化学兵器は登場していません。モビルスーツの主な武装は、実弾と近接戦闘ようの打撃武器となります。
特にモビルスーツ同士での戦闘は、実弾による装甲へのダメージが薄いため、どうしても直接殴り合う描写が多くなります。それがオルフェンズ特有の「泥臭さ」につながり、これまでにない魅力を見せているのでしょう。
機体が傷ついていく様子や、それを改修していくシーンは、ガンダム好きならぐっとくるものですね。
 


オルフェンズ世界の勢力図

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 完全なテラフォーミングが成功しているため、一見火星の文明レベルは高いように見えますが、実際は地球に依存し、支配体系から抜け出せないままでいました。
地球は厄祭戦後4つの経済圏に別れ、それぞれの経済力と統治力によって組織化していました。もちろんそれに反抗する勢力もありましたが、各国連合による「ギャラルホルン」によって治安の整備、武力支配を強めることにも成功し、力と金の動きを統括する結果となりました。地球は一時的ではあるものの「平和」と「安定」を手にしたといえます。
とはいっても、やはりそれは仮初のものにちがいはありません。本編一期では地球圏老舗企業であるモンターク商会が鉄華団との交渉に乗り出し、火星資源であるハーフメタル利権への参入を条件にクーデリアの支援を行いました。それによって地球圏は火星に新たな火種を抱え、均等が崩れる結果となります。
常に情勢が変化し、戦国時代的な下剋上が繰り返されているのでしょう。
二期ではクーデリアが「アドモス商会」という企業を設立し、火星の経済的な独立を目指すところから物語がスタートします。今後の勢力図は、想像できないほどに総がわりする可能性だってあるでしょう。


モビルスーツやその他の技術

 
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技術力は300年前の戦争によって衰退し、過去の遺産であるモビルスーツは希少品となっています。それゆえに戦闘の主力は技術的に数段劣る「モビルワーカー」となる。モビルワーカーはモビルスーツの相手にならないので、いかにして多くのモビルスーツを獲得、運用できるかが単純な軍事力につながります。
オルフェンズではモビルスーツのフレームが重要となり、機体や勢力ごとに規格がちがっています。今作における「ガンダム」とは、ギャラルホルンの前身組織が開発した「ガンダムフレーム」に属するモビルスーツ全般を差し、見た目がまったく異なっても、同質のガンダムタイプと分類されることがある。
現在の世界では、フレームを新規開発することのできる組織は「ギャラルホルン」だけとされ、そのため一方的に強靭な軍事力を保持することが可能となっている。ぼろぼろの旧品を使用してそれらのモビルスーツに勝利することは不可能に等しく、それゆえに地球圏は安全な状態を作り上げることができたのです。
動力は「エイハブ・リアクター」と呼ばれる相転移炉の一種によって賄われ、高出力によって巨大な戦艦さえも動かすことができます。ちなみにこちらの技術も「ギャラルホルン」が独占しているため、問題なく動くモビルスーツの希少性は高まるばかりです。
「エイハブ・リアクター」は「エイハブ粒子」と呼ばれる重粒子を放出し、それによってモビルスーツの慣性を制御し、戦艦内の擬似重力を生みだしています。「エイハブ粒子」は超高速で回転することによって拡散し、「エイハブ・ウェーブ」という磁気嵐を発生させます。影響範囲内ではレーダーや電波装置が利用不可能となり、人間の生活に障害を残しています。「エイハブ・リアクター」は物理的な破壊が困難で、300年前の物が今でも現存し、重力異常や電波障害を引き起こしているのだそうです。




阿頼耶識システムとは

 
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前戦争のときに考案され、モビルスーツの操縦に使用された有機デバイスシステムのことをさします。パイロットに「ピアス」と呼ばれる金属端子を埋め込み、操縦席に設置された端子によって機体と直接リンクさせます。ナノマシンによってパイロットの脳神経がダイレクトに機体と結ばれるので、機体側のプログラムを無視した運用が可能です。
モビルスーツのポテンシャルを全て引き出すための技術ですが、そのための弊害も多くあります。
ナノマシンの定着は成長期の子供でしか不可能であり、そのための手術の成功率も決して高くありません。戦闘による脳へのダメージも大きく、身体への負担も尋常ではないものがあります。
本作一期では三日月が阿頼耶識システムによって、右目と右腕の機能を失っています。しかし彼は阿頼耶識の手術に三回挑戦し、すべて成功しているので、それ相応の覚悟とリスクヘッジはしてきたのでしょう。パイロットとしての能力の高さは、そういったシステムを使いこなす技量の表れでもあります。
現在は禁止された技術ではありますが、非公式でヒューマンデブリなどに使用する例は無数にあり、一期の終盤でもグレイズ・アインが阿頼耶識の手術を受けて三日月の前に立ちふさがりました。
機械化を忌み嫌う人たちの間からは、「宇宙ネズミ」と呼ばれ、蔑まれていもいます。


二期にかける期待

 今後はやはり新モビルスーツの登場や、決戦兵器の設定が楽しみとなりますね。また一期でもあったような、「想像できない」展開を待っています。一期とどうつながり、そしてどう裏切られるのか、毎週忘れずに視聴して応援しましょう。